美しき会津弁

個人的にですが、一番美しく、ステキだなと思う会津弁が、「いだます」です。

「いだます(いたましい)」

標準語だと「かわいそう」とか「痛々しい」とかの意味です。
これが、会津弁では「もったいない」という意味を持ちます。

たとえば、食事を食べ残すと「いたましい」、直せば使える道具を捨ててしまうと「いたましい」など。

会津以北、会津の歴史でも書いたとおり、会津にはもともと山形などから入った山岳信仰がありました。
食材は、山々の恵み、あるいはその山から流れてくる水系がもたらす自然の恵み。
それはただの材料ではなく、大自然の一部なのです。
自然の恵みを食するために分けて戴きながら、残してしまってはかわいそうだと思ったのではないでしょうか。

道具も、もともとは木片や岩石など、大自然の中の材料から作ったに違いありません。
やはり食材と同様に、自然への感謝を持ちながら使い、壊れては直して使っていたのだと思います。
日本古来の針供養や人形供養にもつながる精神性が、会津の文化や言語に残っている気がします。

もったいない、というと人間の都合のようですが、会津の人は「いだます(いたましい)=かわいそう」と、食材や道具に感情を移入し万物に魂が宿ることを子供の頃から知らず知らず教えられているのではないでしょうか。